日々メロ イラストギャラリー     冬季限定ヒーロー   雪だるマンの日常    

冬の金沢。

地元の人で知らない人はいないが、雪おこしの冬雷が鳴り響く頃、

どこからともなく現れる、冬季限定ヒーロー「雪だるマン」。

今冬も颯爽と現れたまではよかったのですが、折りしもこの大不況。

ヒーローといえども、 おまんまを食わねばなりません。

ヒーローらしい勤め口を探しもしたのですが、 世知辛いここ昨今。

取りあえずは 得意の雪かきで生計を立てておりました。

その日も「かぁ〜ちゃんのためなら、エ〜ンヤ、コ〜ラ」(注・雪だるマンは独身です)と

軽やかに歌いつつ、側溝の流れを良くしようと思って、

スコップで雪を突ついていましたら、溝の底に光るものが....。

 ラッキー!と雪だるマンは普段はあまり信じてもいない神に感謝し、

その500円玉を石鹸でよく洗って、お腹のポッケに収めました。

それにしても、雪だるマンのポッケには何が入っているのでしょうか?

想像するに雪だるマンのお腹のポッケには、

たぶん小雪だるマンが入ってますね。

   そして小雪だるマンのポッケには、小小雪だるマンが。

小小雪だるマンのポッケには、小小小雪だるマンが...。

(以下、繰り返し)

 

翌日雪だるマンは、早速その500円玉を握り締め、温泉に行きました。

ここで懸命なる読者の人は思わず叫んでしまったことでしょう。

「雪だるマン、温泉入いっちゃダメ! 湯気になって空に上って、

雲になって雪になってまた雪だるまになって...って循環しちゃうよ!!」

そう叫びつつ思わず止めたくなりますが、雪だるマンが

あまりに気持ちよさそうなので止められません。

そして何故かお魚までが...。煮魚になっちゃうよ!

 

しかし、心配はご無用。これは金沢伝統の「雪風呂」だったのです。

あの、大河ドラマでお馴染みの「トシイエとマツ」が好んで入浴したという、

加賀百万石の伝統あるオフロなのです。よかったよかったなのです。

 

雪風呂でリフレッシュした雪だるマン。

さぁ頑張って仕事の雪かきをしようとしましたが、今年になって正月以来

まとまった雪がないため、雪かきの仕事がありません。

せっかく充電されたエネルギーのぶつけ先として雪だるマンは、

新春・子供マラソン大会に出場しました。

子供と思って若干侮っていた部分があるのですが、

基本的に雪だるマン。足が遅いので、次々と子供達に抜かれていきます。

「負けてなるものか!」

 必殺技「忍法 分身の術」を披露しました。

確かに凄い大技ですが、マラソンにはあまり関係無く、

結局ビリでゴールしたそうです。

 

分身の術で力を使い果たした雪だるマン。

エネルギー補給のため、お正月で余ったお餅を焼いて食べることにしました。 

 

焼いてみると自分に似ているので、なんか食べづらいなぁ、

と考えている雪だるマンでありました(結局食べましたが)。

 

小春日和の小正月、雪だるマンは正月飾りをもってどんど焼きにやって来ました。

ちなみにワタシの育ったところでは、左義長の呼び名の方がポピューラーです。

たき火にお飾りを投げ入れようとしたその時、どこからか小さな声が...。

「やめておくれよぅ〜火にくべないでおくれよぅ〜」

雪だるマンが声のする方をみると、今たき火に投げ入れようとしていたお飾りに

ついていただいだいが”ジュー”と涙(果汁)をしたたらせて泣いていました。

「君は誰なの?」と雪だるマンは聞きました。

すると、だいだいは泣くのをやめて「僕はカンキツルイダー、正義の味方だ!」と答えました。

「どうして泣いているの」雪だるマンが聞くと、

「カリフォルニアのおじいちゃんの所に帰る途中に、間違ってお飾りになっちゃったんだ。」

と言って、また”ジュー”と泣き出してしまいました。

「そんなに泣くなよ。干からびちゃうぞ。」雪だるマンはそう言ってなぐさめたものの、

どうしてよいのか分かりません。

なにしろカリフォルニアです。遠く太平洋をへだてた異郷の地です。

しかし、同じ正義の味方としてカンキツルイダーを見捨てるわけにはいきません。

どうするどうする雪だるマン。

 

雪だるマンは考えます。

「雪かきで五百円も拾った(使っちゃったけど)、

子供マラソンにも参加した(負けたけど)

とにかく今までの僕とは何かがちがっているはず!」

雪だるマンは一つ大きくうなずくと、頭の上に泣き続けるカンキツルイダーを乗せました。

「恐れるな、そしてボクから離れるな。」

雪だるマンは気持ち的には、タイタニックのレオナルドさんのように羽ばたきました。

どうなるどうなる雪だるマンとカンキツルイダー!

二人は無事にカリフォルニアにたどり着くのか?

その前にカンキツルイダーが冷凍みかんになってしまうのか?

雪だるマンはカンキツルイダーを頭に乗せ、いざコマツ空港から旅立った!

ワールドワイドに展開する、一部にだけ、妙に好評な「冬季限定ヒーロー 雪だるマン」。

次回を乞うご期待!!!

 

 

帰ってきました。

 カリフォルニアで手に汗握る、八面六臂の大活躍の末、無事カンキツルイダーと

サンキストおじいちゃんとの涙の対面を実現させた雪だるマン。

(ここら辺のお話は、後日、緊急出版される「雪だるマンとカンキツルイダー

愛と涙の友情物語 in カリフォルニア編 予価322円」でお楽しみください。)

 

ただ、どんと焼きで焚き火に近すぎたり、飛行機の中があまりにも暖かかったり、

カリフォルニアの生水が合わなかったり、

そして何より、このところの金沢の一月には思えないほどの、春を感じてしまうような

暖かい気候のせいで、すっかりやせ細ってしまいました。

 

しかし人間万事塞翁が馬。今年は午年なのです。伊達じゃないです。

痩せたおかげで、雪だるマンはボーリング場のイメージキャラクターに抜擢され、

エステの宣伝で「ワタシもHOTダイエットでこんなに痩せました!」と

コマーシャルにまで出演したりして、図らずも妙にお金持ちになってしまいました。

世の中って不思議です、ええ。

 

 

 ひょんなことから、持ちなれない大金を手にした雪だるマン。

そのお金を持って、夜な夜な片町に飲み歩く、自堕落な生活が始まってしまいました。

 

 「この店の一番高い酒を片っ端からもってこい!」

「今日は女の子の数が少ない。なに!?アケミちゃんいないの!?ならボク帰る!」

「コトブキカイカンのシャチョウを出せ!そしてギターを弾いてクレ!(おいおい)」

と片町近辺を傍若無人に暴れまくる雪だるマン。昔はこんな人(ヒーロー)じゃなかったのに、、、。

 

 しかし、こんな生活が長続きするハズがありません。

日々の不摂生が祟って、見る見るうちに体重が元に戻ってしまい、

せっかく手に入れた、ボーリングやエステのイメージキャラクターの座も簡単に失ってしまいました。

 

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きアリ

沙羅双樹の花の色 盛者必衰の 理を顕ワス

 

そんなもんです。そして、このとき、雪だるマンはまだ、自分の背後に迫る「キラリ」と光る

鋭い視線に全く気づいていなかったのでした。

 

 

お金も使い果たし、また以前の生活に戻った雪だるマン。

ヒーローらしからぬ迷走ぶりに、猛省する日々を送りました。

そしてお金持ちだった間は見向きもしなかった、お年玉付年賀はがきの

当選番号のチェックを始めました。

お?おおっ!? おしい、、、。

一瞬大当たりかと思ったのですが、微妙に番号が違っていました。

結局今年も切手シート3枚分だけの、雪だるマンでした。

 

 

 そんなこんなでなんとか社会復帰した雪だるマンですが、不摂生に太ってしまった

代償は大きく、4Fまでの階段を上っただけで息切れしまうようになってしまいました。

 

ヒーローとしてこれではいけない!(そりゃそうだ)

 

との念に駆られ、雪だるマンは毎朝4キロ、犀川の河原でランニングすることにしました。

 雪だるマンはポケットから伸びたMDウォークマンで、

お気に入りのHEATWAVEのCDの中でも大好きな「パンダマン in your soul」

のサビの部分を勝手に「雪だるマン」に変えて歌いながら軽快に走りました。

 

 

一時期は春を思わせるような陽気だった金沢も、再び雪が降り始め、

雪だるマン的季節らしくなってきました。 

元気回復の雪だるマンは、この機を逃さず、人気度アップを目指しました。

 

昨年の大ヒット映画「千と千尋の神隠し」にあやかって、

人気キャラクター、カオナシにチャレンジしてみました。

が、ススワタリなどの妖怪たちには好評でしたが、

肝心のチビッコ連中に対しては、「単純に怖い」と言われる始末。

思い描いた、ロッキーのようにジョギングすると、子供達が思わず後を追ってくる姿とは

あまりにもほど遠く、どうせなら「ハリーポッタにすればよかった、、、」と傷心の雪だるマンでした。

 

 

 思うように人気回復にも繋がらない上、おまけに白峰村のイベント「雪だるま2002」の

『百万貫雪だるま』にすっかりお客を奪われ、商売上がったりの雪だるマン。

 

なにが、13.5メートルだ、あんなウドの大木が何だって言うんだ、、、べらんめぇ、、、

 

片町の焼き鳥横丁で一人、店の親父に向かって、愚痴ったりもしていました。

が、嘆いていても始まりません!雪だるマンは間近に迫った「西日本おこたピンポン」

の金沢予選に向けて、秘密特訓を開始しました。

 

おこたピンポン。それは今話題の前田利家が、その妻マツと江戸時代の頃から、

冬はのんびりおこたに入りながら、ピンポンをしたという、そのまんまのエピソードが

起源となった金沢縁の冬のスポーツです。

昔は中央のネットの代わりに、九谷焼の重箱を使用していましたが、

現代では、ビデオカセットテープの使用が義務付けられています。

 

おこたが苦手で、昨年は北陸地区予選大会 総合5位で敗退してしまった雪だるマン。

今年は全国大会進出可能な3位以内を狙っています。

対策として、おこたになるべく入らないポジショニングと、

新・必殺技「ビバッ!龍思ワズ滝登リ天空キラ星スマッシュ!」(略称:ビバッ!テンクースマッシュ!)を

引っ提げて、予選突破を狙っているのです。

 

 

 おこたピンポンの秘密特訓でいい汗かいた後、雪だるマンは、

友人達を呼んで、とり野菜鍋を囲みました。

ビールを飲みながら、鍋をつついていると、恒例の一発芸大会です。

雪だるマンは自作の鍋ツカミを両手にはめ、カニにチャレンジしました。

応用技として『フォッ、フォッ、フォッ、フォッ、フォッ』とバルタン星人にも変化し、

友人達に「腕を上げたな(文字通り)」、と評価を上げた雪だるマンでした。

 

 

 2月3日節分です。雪だるマンは豆まきの鬼の出張バイトです。

「なぐごはいねぇがぁー!?悪〜い、モモタローはいねぇえのかぁ? 」

STOP! ストッ〜プ!! ストップ、ミュージック!

ミュージックは関係ないですが、とにかくストップです。

筆者も忘れていましたが、雪だるマンは冬季限定とはいえ、一応ヒーローです。

ヒーローなのに、バイトとだからといって、日本の悪の象徴である”鬼”となってよいのでしょうか!?

まっ、いっか。

 

 

本来の金沢の冬らしく、寒さも厳しくなり始め、絶好調の雪だるマン。 

調子に乗って冬季五輪の開催地ソルトレークシティーまで行き、

ついでに日本代表として、モーグルに出場しました。

予選6位の雪だるマンは、最初の第1エアでツイスタースプレッドを決め、その後も果敢な滑り。

第2エアでは、トリプルツイスターの大技を見事に決め、持ち前の攻撃的な滑りで、

26点という最高得点をを挙げました。

金メダル確実と思われたのですが、アパランチ会長に、

 

「ユキダルマ、ダカラ、ダメ」

 

と怒られて、結局は参加賞の「ソルトレークモナカ」をお土産にもらって岐路に着きました。

後に雪だるマンは「このモナカは金メダルよりも重い」と

飲み屋で泣きながらモナカを食べたそうです。

そしてそのモナカの味は、涙とソルトレークの塩で、

「随分しょっぱかった」(雪だるま談)と伝えられています。

 

 

そんなわけでオリンピックには目もくれず、日夜雪かきのバイトに勤しむ雪だるマン。

2月も中旬になり、雪も降り始め大忙しです。

そんな折、予期せぬ敵が現れた!バーン!!

(ようやくヒーローものらしい展開)

 

 

 

つづくと思ってみなかったものが、意外とつづいたり、

永遠だと思っていたものが、案外儚かったり。

楽しみにしていたことが、悲しい結末となったり、

辛い出来事が、思わぬチャンスに繋がったり。

 

 

激闘編につづく

 

 

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